2010年12月12日日曜日

「新しい道徳」藤原和博著 (ちくまプリマー新書)

新しい道徳
子どもにとって、教師でも親でもない大人との接触が大切。ということは、前から自分も経験から思っていて、
そんな考えから「三丁目の夕日」の情景とか、江戸の下町とかに興味持ってて、羨望してた。
で、過去を羨望するんでなくて、新しいスタイルを見つけないといけない!
って当然のことに気が付いて。この本に出会ってよかったと思ったわけです。


「日本という国の将来の姿も、「とにかく経済力を」とか「もっと国民所得を」というような単純なものではなくなってくる。こうなると、国が描く「大いなる成長物語」に身を任せているわけにはいかない、流されていれば、そこそこの幸せがつかめる時代が終わったからだ。」
「一人一人がバラバラに生きて行くというのは、一見自由で楽しいように聴こえるが、じつは恐ろしいことなのである、ゴルフコースをたった一人で回るようなものだからだ。普通は、そんな孤独感には誰も耐えられない。
だから、宗教が、その一人一人のつながりを保障する時代が続いた。
人間が生きるには、どうやらそうした中間集団が媒介することがだいじらしい。」
「新しい国づくりは、100年以上前の前例に習って、まず「人づくり」から始めなければならない。
真に復興すべきは、コミュニティに生きる人々の「美意識」。
だから、教会の替わりに、学校を核にして地域社会を再生していく努力が望まれるのである。
日本では、もし「教会」の替わりが務まる組織があるとすれば、それは、「学校」しかないからだ。」
(本書「あとがきにかえて」より抜粋引用)


いじめを3段階に分類して考えています。
レベル1は軽度のもので、教師が立ち入らないことでリーダーが生まれたり、
よいこともあるとのこと。また、大人が介入していじめ萌芽をつぶそうとすると、
感情的に横滑りして、更なるいじめに発展してしまうらしい。
わかるような気がする。

レベル3は一番重症な分類で、金銭や暴力の問題になるもの。
即、警察に通報すべきということです。

レベル2が、いじめの大半を占めると著者は言っていまして、
レベル1にも3にもなりうるから、対応が難しいということです。
教育者は大変ですね。


ゆとり教育への短絡的な批判に反論している。
結果としては、悪い成果となったかもしれないけど、
方向性としては、著者はゆとり教育に賛成という立場と読み取れる。



「新しい道徳」藤原和博著 (ちくまプリマー新書)
760円+税